会社経営を続ける過程では「変更登記」を行うこともあります。役員の変更や再任、会社の住所や社名の変更など、会社設立時に登記を行った事項について変更が生じたときは登記をしないといけません。
これは法律上の義務ですので会社経営に関わる方は変更登記について知っておく必要があります。ここでその概要や申請が必要になるパターン、申請時の必要書類などを解説しますのでぜひご一読ください。
「変更登記」とは、いったん登記した事項について、変更をするための登記手続を指しています。
例えば株式会社や合同会社を設立するとき、次に掲げる事項などを登記しないといけません。
これらの事項を登記しないと法人格を取得することができず、法人として成立ができません。
変更登記が必要になるのは、すでに登記を行っている事項について変更が生じた場合です。
そこで上に列挙した例を取り上げると、「事業内容の変更や追加をするケース」「社名を変更するケース」「本社を引っ越すケース」「資本金の額が変動したケース」「役員等を変更するケース」などで変更登記の手続を行うこととなります。
変更登記を行うケースとして比較的多いのが「役員変更登記」です。
株式会社だと取締役や監査役などの役員の情報は登記事項であり、設置するときは登記を行わなければいけません。そしてその人物に変更が生じたときはもちろん変更登記を行います。
また、株式会社の場合は会社法で「役員の任期」が定められており、一定期間が経過すると強制的に役員変更(または再任)の機会がやってきます。原則として取締役や会計参与は2年、監査役は4年の任期に係ります。
株式の譲渡に制限をかけている非公開会社だと最大10年まで伸長することができますが、それでも役員の変更や再任手続は避けられません。その結果、変更登記も一定期間おきにしないといけなくなります。
※合同会社では定款で別途定めを置かない限り任期の制限はない。
役員変更登記を例に手続方法を紹介します。
まず手続の窓口ですが、変更登記の種類問わず法務局に対して申請を行うことになります。
必要書類を準備して、登記申請書を作成し、これらを法務局に提出しないといけません。書類の提出後は法務局が内容を審査し、問題がなければ変更登記が完了します。
他方で、書類に不備などがあると補正をするよう求められることもありますので、その場合は別途対応が必要です。
なお、法務局への各種書類の提出方法には次の3つがあります。
変更内容に応じて必要書類は異なります。取締役の変更を行うケースであれば、次のものを準備します。
法務局に申請するための「変更登記申請書」は当然作成が必須で、「株主総会議事録」や「株主リスト」などは変更手続が正しく行われたことを示すために必要なものです。
「就任承諾書」や「印鑑登録証明書」については、取締役となる(または再任する)者の本人確認と、取締役になることに対する意思表示を証明するために必要なものです。
会計参与や監査役、代表取締役などの変更に関しても、基本的には手続が適正に行われたことや就任に対した承諾したことへの証明をする書類を準備しなくてはなりません。
なお、「委任状」は申請手続を代理人にしてもらうときに必要な書類です。登記に関しては司法書士が対応することが多いため、依頼するときは委任状の作成を行います。
登記事項に変更があったときは、「変更があったときから2週間以内」に変更登記を行いましょう。
※一部、3週間の期限に係る登記事項もある。
これは会社法に規定されている義務であり、登記を怠ったときは、代表者個人に対して最大100万円の支払いを求める過料のペナルティが科されることもあります。
「同じ人が取締役に再任したから変更登記は不要」などと安心してはいけません。特に株式会社としての活動を続けていると役員の任期の関係上、変更登記の機会がやってきます。手続は司法書士に任せれば大きな負担になりませんし、会社に関する大きな変更があったときや役員の任期がやってきたときは司法書士に相談する、と覚えておけば良いでしょう。