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会社設立の流れを解説~定款の作成から設立登記、その後の届出まで~

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会社設立をするには、法務局で「設立登記」をしないといけません。そしてこの設立登記をするためには、定款を作成する必要がありますし、資本金の振り込みも済ませておかないといけません。

こういった会社設立の流れをイメージできるよう、ここではざっくりと全体的な手続きについてご紹介します。

 

会社設立の基本的な流れ

よく設立される会社に株式会社、合同会社が挙げられますが、いずれも次の流れによることは共通しています。

  1. 「定款」で根本原則を定める
  2. 「資本金」を振り込む
  3. 「設立登記」で法人格を得る

まずはこの基本となる3ステップについて解説します。

 

「定款」で根本原則を定める

定款は根本原則であり、会社の種類を定義する存在でもあります。ただの社内規程と捉えるべきではなく、「会社が存立するために欠かせないもの」と認識しておきましょう。

会社役員に対する規制をしたり、株主の権利を守るためのルールを設けたり、また、会社の機関(株主総会、取締役、取締役会、監査役、監査役会、会計参与など。)の設計や運営ルールなども定款で定めます。

少なくとも、会社の基本情報となる社名などは原始定款に記載しなといけません。定款が有効に成立するために必須の事項を「絶対的記載事項」と呼び、株式会社と合同会社、それぞれ次の事項は定めておかないといけません。

 

株式会社の絶対的記載事項

合同会社の絶対的記載事項

目的

目的

商号

商号

本店の所在地

本店の所在地

設立に際して出資される財産の価額又はその最低額

社員の出資の目的及びその価額又は評価の標準

発起人の氏名又は名称及び住所

社員の氏名又は名称及び住所

発行可能株式総数

社員全員が有限責任社員である旨

 

また、多くの中小企業では外部の投資家が経営権を持つことを避けるため「株式の譲渡制限の定め」を置いています。この制限をかけたいときは定款にその旨を記載します。合同会社でも持分譲渡に関するルールを置くときは定款に記載する必要があります。

なお、紙定款として作成したときは4万円の印紙税がかかりますが、電子定款なら非課税ですのでこの負担はかかりません。

 

「資本金」の振り込み

資本金を振り込んで出資を履行します。

資本金の額は自由に定めることができますが、会社債権者にとっての最終的な担保にもなるためある程度信用力の指標としても見られています。また、創業当初の運転資金として機能する点も考慮し、具体的な額を定めると良いでしょう。

なお、出資を履行する段階では会社が成立していないため、代表者個人の名義の口座をいったん用意して、そこに払い込みを行いましょう。設立登記のためにも払込証明書が必要であるため、払い込みは送金記録が残るように実施します。

 

「設立登記」で法人格を得る

会社設立手続きの締めは登記申請です。

法務局で会社の登録を行うのです。登記という形で登録を行い、無事登記をされれば法人格が与えられ、「会社設立ができた」ということになります。

設立登記申請を行うときは、設立登記申請書を作成するほか、定款や役員自身が就任について承諾したことを示す承諾書、資本金の払込証明書など、多数の添付書類を用意しなくてはなりません。

重大な手続きであるとともに手間のかかる手続きでもありますので、通常は登記のプロである司法書士に依頼して対応します。

 

株式会社に特有の手続き

合同会社の場合、株式会社に比べて設立コストも設立手続きも少ないです。これは所有と経営が分かれていないことが関係しており、株式会社のように利害関係が複雑ではないことが理由といえます。

そこで手続き内容の差としては、例えば「株式の発行」に関する手続きや、「定款の認証」の手続きの有無にあらわれています。

 

株式の発行

株式会社では社員としての地位を「株式」として発行します。経営者(取締役等)にのみ株式を割り当てれば、実質会社の所有と経営は一致しますが、規模が大きくなるほど経営に関与しない株主も出てきやすいです。

この株主はいわゆる一般投資家のことであり、経営や株式の取り扱いに関して、この一般投資家の利益も考慮しないといけなくなります。

そこで、誰にどれだけの株式を割り当てるのか、どれだけの株式を発行するのか、発行可能株式総数はいくらにするのか、株主総会における議決のことなども考えながら定めていかないといけません。そして実際に発行を行い出資の履行を受ける手続きも進めないといけません。

設立当初、株式を引き受けるのが発起人しかいないとき(発起設立という。)は比較的手続きがシンプルですが、設立段階から投資家が存在するとき(募集設立という。)は手続きが複雑化します。この場合は司法書士のように会社設立に精通した専門家も活用し、進めていくことをおすすめします。

 

定款の認証

株式会社でのみ、定款の認証が必要です。

これは定款の内容を公証人にチェックしてもらう手続きのことで、公的な法律のプロが確認することでその有効性を担保するのが主な目的です。

株式会社は特に利害関係の幅が広いと考えられており、会社不存在・設立無効によるリスクを抑えるために実施を義務とされているようです。

手続きの際は、まず本店所在地を管轄とする公証役場にて予約を取りましょう。

 

会社設立後の共通する事務手続き

設立登記によって会社が成立した後は、「法人設立届出書」等の書類を提出します。

ほかにも必要に応じて「青色申告の承認申請書」や「給与支払事務所等の開設届出書」を税務署に提出。従業員を雇ったときは、社会保険関連で年金事務所・労働基準監督署・ハローワークへ各種届出を行いましょう。

これらの事務手続きに関しては株式会社でも合同会社でも違いはありません。